攫の趣味に偏りまくったブログサイトです。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 「シンク…俺、引っ越すことになったんだ」 ----------……は? 今度はソファに転がって読書に没頭していたシンクは、そんな間抜けな声と共に、ハードカバーの分厚い本を自分の顔面めがけてダイブさせることとなった。 固い部分の直撃は避けたとは言え、重たい本を顔面に食らって平気なわけがない。 鼻のあたりをさすりながらソファから身を起こす。 「…どういうことさ」 聞き間違えであれ。 そう思いながら聞き返すが、そんな期待はあっさり破られた。 「そのまんまの意味。…学校も辞める、他の町に行くんだ。」 叶えられることのなかった期待。 ルークの言葉だけがぐるぐると頭の中を駆け巡る。 混乱しきった頭は正常な考え方ができないくらいまでになった。 気付いた時には、ルークの体を力一杯抱きしめていた。 「し、んく」 「行かないでよ」 戸惑ったようなルークの声にも構わず、力を強める。 離れたくない。 涙声で呟くシンクは、いつもよりも弱々しい。 「ごめん、シンク、ごめん」 「謝るくらいなら、いくなよ!」 「ごめんね、シンク、ほんとうにごめん」 いやだ、いやだ。 駄々をこねる子供のようにルークにしがみついて、呟く。 いっそこのまま泣けるほど子供であれば良かった。 変なプライドなんかに左右されないほど、子供であれば。 ごめんね。 震える声で呟くルークの肩に頬を寄せ、ひとつだけないた。 こどものなきごと (別れに伴う痛みを堪えきれるほど大人にはなりきれない 声を上げて泣けるほど子供のままではいられない) 「うっそ〜〜っ!」 打って変わって明るい声が静かだった部屋に響く。 あはははははは、と腹を抱えて爆笑するルーク。 ひーひーと呼吸困難に陥りそうなルークを呆然と見つめる。 どういうことかと混乱するシンクに、ルークがカレンダーを指差す。 エ イ プ リ ル フ ー ル 。 四月馬鹿と称される今日この日に、まんまと騙されたというわけだ。 いよいよ力も抜けて、シンクが床にへたり込んだ。 ふつふつと怒りが沸き上がるも、どうにも怒鳴り声を上げる気にもなれない。 代わりに零れたのは深い、深い溜め息だった。 --------------来年、覚悟してなよ、ルーク。 本当の復讐は来年のエイプリルフールまで持ち越すことにして、とりあえず今は目の前で蹲り笑い転げる赤毛の少年を黙らせようと、大きく手を振り上げた。 真相なんて所詮こんなものです (いい加減笑い終われよ鳥頭!!) (わっ、ちょ、シンクっタンマァァァァァァア!!!) PR ![]() ![]() |
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いろいろともう駄目かもしれない変な人。
可愛い子と戯れることが生き甲斐です。
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